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「休みたい」と言えない看護師へ
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「休みたい」と言えない看護師へ

――「迷惑をかける自分はダメ」が心を削る理由

体調が悪い。 今日は休んだ方がいいと、自分でも分かっている。

それなのに、職場へ連絡しようとすると手が止まる。

「ただでさえ人が足りないのに」 「代わりに誰かが働くことになる」 「忙しい日に休んだら、どう思われるだろう」 「患者さんに迷惑がかかるかもしれない」

そんなことを考えて、無理をして出勤してしまう。

あなたにも、似た経験はありませんか。

休めないのは、責任感があるから

看護師は、人の命や生活を支える仕事です。

簡単に休めないと感じるのは、それだけ仕事に責任を持っているからでもあります。

同僚が忙しくなることも分かる。 患者さんのことも気になる。 自分の役割を途中で投げ出したくない。

その気持ちは、看護師として大切なものです。

しかし、責任感が強くなりすぎると、

「どんな状態でも休んではいけない」 「人に迷惑をかけてはいけない」 「自分が我慢すればいい」

という、自分を苦しめるルールに変わることがあります。

精神科看護師として見てきたこと

私は、精神科看護師として25年以上、さまざまな患者さんや職員の悩みに触れてきました。

現場で感じるのは、真面目で責任感が強く、人に迷惑をかけたくない人ほど、自分の限界を後回しにしやすいということです。

体調が悪くても出勤する。 頼まれると断れない。 自分の仕事が終わっても周囲を手伝う。 家に帰ってからも、ミスがなかったか何度も考える。

周囲からは「頑張っている人」「頼りになる人」に見えていても、本人の心の中では、

「まだ足りない」 「もっと頑張らなければ」 「迷惑をかけたら、自分の価値がなくなる」

と、自分を責め続けていることがあります。

「迷惑をかける自分はダメ」という心のルール

私たちは、自分でも気づかないうちに、さまざまな心のルールを持っています。

たとえば、

  • 休む自分は弱い
  • 人に頼ってはいけない
  • 間違えてはいけない
  • 期待に応えなければならない
  • 迷惑をかける自分には価値がない

といったものです。

こうした自動的な考え方は、「潜在意識の思い込み」と表現されることもあります。

家庭、学校、これまでの人間関係や職場での経験を通して、いつの間にか身についた可能性があります。

この心のルールは、もともと自分を守るために必要だったのかもしれません。

迷惑をかけないように頑張ることで、認めてもらえた。 期待に応えることで、自分の居場所を守ってきた。

しかし、以前は自分を守ってくれたルールが、今の自分を苦しめていることがあります。

人手不足は、あなた一人の責任ではない

ここで、忘れてはいけないことがあります。

職場の人手不足や、誰か一人が休むだけで現場が回らなくなる勤務体制は、個人の我慢だけで解決する問題ではありません。

急な欠勤によって、同僚の負担が増えることはあります。

だからといって、体調が悪い職員まで無理をして働き続けなければならないとすれば、個人だけではなく、職場の仕組みにも課題があります。

「みんなが大変だから、自分だけ休めない」

そう思うかもしれません。

しかし、限界を超えるまで我慢して倒れてしまえば、さらに長く休まなければならなくなることもあります。

休むことは、責任を放棄することではありません。

自分の心身を守り、安定した看護を続けていくために必要な判断でもあります。

同じ状況の同僚には、何と声をかけますか?

少し想像してみてください。

あなたの大切な同僚が体調を崩し、

「迷惑をかけるから休めない」 「自分が我慢すればいい」

と言っていたら、あなたは何と伝えるでしょうか。

きっと、

「無理しないで」 「今日は休んだ方がいいよ」 「あなたが悪いわけではないよ」

と声をかけるのではないでしょうか。

その言葉を、自分にも向けてよいのです。

他人には優しくできるのに、自分には厳しい。

そこに、自分を苦しめている心のルールが隠れていることがあります。

自分に問いかけてほしい3つの質問

休むことに罪悪感が出てきたときは、次のことを自分に聞いてみてください。

1.私は今、何を怖がっているのだろう?

責められること。 評価が下がること。 役に立たないと思われること。

まずは、何が怖いのかを言葉にしてみます。

2.それは事実だろうか、それとも想像だろうか?

「きっと迷惑だと思われる」 「休んだら信用を失う」

そう考えていても、実際にはまだ何も言われていない場合があります。

事実と想像を分けてみるだけでも、心の負担は少し軽くなります。

3.大切な人が同じ状況なら、私は何と伝えるだろう?

自分にかける言葉が分からないときは、大切な人に伝える言葉を考えてみてください。

その言葉は、本来、自分にも向けてよい言葉です。

心のルールは、責めるのではなく理解する

私のコーチングでは、「休めない自分」を無理に変えようとはしません。

まず、休もうとしたときに出てくる不安や罪悪感を整理します。

その奥に、

「迷惑をかける自分はダメ」 「人に頼る自分は弱い」 「期待に応えられない自分には価値がない」

といった心のルールがないかを、一緒に確認していきます。

そして、そのルールがどのように自分を守ってきたのかを理解したうえで、今の自分に合った考え方へ少しずつ変えていきます。

大切なのは、古い考え方を否定することではありません。

自分も相手も大切にできる、新しい選択肢を増やすことです。

人を大切にすることと、自分を犠牲にすることは違う

我慢することが、必ずしも優しさとは限りません。

無理を続けることが、責任感とは限りません。

人を大切にしながら働き続けるためには、自分の心と身体も守る必要があります。

すぐに休めるようにならなくても大丈夫です。

まずは、

「私は今、休むことに罪悪感を持っている」 「迷惑をかける自分はダメだと思っているのかもしれない」

と気づくことから始まります。

気づくことができれば、そのルールをこれからも守り続けるのか、それとも少し変えていくのかを選べるようになります。

あなたの価値は、どれだけ我慢できたかで決まるものではありません。

休む日があっても、誰かに頼る日があっても、あなたが積み重ねてきた看護の価値まで失われることはありません。

人を大切にすることと、自分を犠牲にすることは違います。

もし、休みたいのに休めない、自分ばかり我慢していると感じているなら、一人で答えを出そうとせず、まずは今の気持ちを整理してみてください。

また、身近に責任感が強く、自分を追い込みながら働いている看護師さんがいらっしゃれば、この記事をそっと届けていただければと思います。

病院・訪問看護・介護事業所などで、職員のメンタルサポートや人間関係、離職予防について考えている管理者の方からのご相談も、プロフィールより受け付けています。

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